緑と石の物語
ほどなくして、その別荘らしきのが皆の目に映った。
「……やっぱりね……」
「なにがだ?」
「……いや、なんでもないよ。」
別荘にも常駐のメイドがおり、室内も庭もとても美しく保たれていた。
大きな窓のある食卓でその晩の夕食が始まった。
湖面を渡って来た風が涼やかで、遠くからは梟らしき鳴き声が聞こえている。
「ここも、すごく良い所だねぇ…
ねぇ、レヴ!
旅が終わったら、あたしをここのメイドに雇っておくれよ。」
「それには、もっと掃除や料理がうまくなってからだな。」
「あぁ、どうせ、あたしは掃除なんて昔から全然やらなかったよ!」
「まぁ、サリーさん!
メイドだなんておっしゃらずに、レヴの奥さんになって下されば良いのに…!」
サリーは飲んでいた思わずワインを吹き出した。
「じ、冗談じゃないよ!
こんな偏屈の嫁さんなんて、無理言わないでよ!」
「母上、こんな娘を嫁にもらったら、酒蔵の酒は一年も経たないうちになくなってしまいますよ。
しかも、こんな無作法な…」
「良いじゃないの、お酒くらい。
こんな方が来て下さったら、毎日面白いじゃないの。」
「本当だな。
我が家も賑やかになりそうだな。」
「父上まで、何を馬鹿なことを…」
まさか本心ではないとは思いつつ、珍しく鼓動の速くなるサリーだった。
*
やがて、次の朝、一行はフレデリックの新居に向けて出発した。
「ここからは近いのですか?」
「多分、夕方あたりには着くのではないかと思う。
私も初めて行く所なのでよくは知らないのだが…」
「見ず知らずの私達までがお邪魔して、本当によろしいのですか?」
「えぇ、フレデリックと私は兄弟のようなものですから、そんなお気遣いは無用ですよ。」
「そうなんですか。
安心しましたわ。」
「きっと、ジネットさんも彼等とは良い友人になれると思いますよ。」
「それは楽しみです。」
三人の会話にサリーだけが参加をせずに下を向いていた。
「……やっぱりね……」
「なにがだ?」
「……いや、なんでもないよ。」
別荘にも常駐のメイドがおり、室内も庭もとても美しく保たれていた。
大きな窓のある食卓でその晩の夕食が始まった。
湖面を渡って来た風が涼やかで、遠くからは梟らしき鳴き声が聞こえている。
「ここも、すごく良い所だねぇ…
ねぇ、レヴ!
旅が終わったら、あたしをここのメイドに雇っておくれよ。」
「それには、もっと掃除や料理がうまくなってからだな。」
「あぁ、どうせ、あたしは掃除なんて昔から全然やらなかったよ!」
「まぁ、サリーさん!
メイドだなんておっしゃらずに、レヴの奥さんになって下されば良いのに…!」
サリーは飲んでいた思わずワインを吹き出した。
「じ、冗談じゃないよ!
こんな偏屈の嫁さんなんて、無理言わないでよ!」
「母上、こんな娘を嫁にもらったら、酒蔵の酒は一年も経たないうちになくなってしまいますよ。
しかも、こんな無作法な…」
「良いじゃないの、お酒くらい。
こんな方が来て下さったら、毎日面白いじゃないの。」
「本当だな。
我が家も賑やかになりそうだな。」
「父上まで、何を馬鹿なことを…」
まさか本心ではないとは思いつつ、珍しく鼓動の速くなるサリーだった。
*
やがて、次の朝、一行はフレデリックの新居に向けて出発した。
「ここからは近いのですか?」
「多分、夕方あたりには着くのではないかと思う。
私も初めて行く所なのでよくは知らないのだが…」
「見ず知らずの私達までがお邪魔して、本当によろしいのですか?」
「えぇ、フレデリックと私は兄弟のようなものですから、そんなお気遣いは無用ですよ。」
「そうなんですか。
安心しましたわ。」
「きっと、ジネットさんも彼等とは良い友人になれると思いますよ。」
「それは楽しみです。」
三人の会話にサリーだけが参加をせずに下を向いていた。