緑と石の物語




「あぁ~…今日はものすごく疲れたよ…」

パーティの後、四人は部屋に集まり、香りの良いお茶を飲みながら寛いでいた。



「気疲れってやつですね…
でも、とても楽しかったですよ。
こんな体験はめったに出来ませんからね。」

「そうですわね。
私も最初は緊張してたんですが、一曲踊ってしまったらなんとなく緊張がほぐれて…
それに、レヴさんがあんなにピアノやダンスがお上手だったなんて…
素敵でしたわ…!」

「そういえば、ダンスは男性から求めるものって言ってたくせに、レヴの場合、真逆だったね。
ああいうのはやっぱり『はしたない』ってことになるのかい?」

「…………」

「レヴ!!」

「…あ…何か言ったか?」

「何をぼーーっとしてるのさ。」

「あぁ…すまないな。
…少し疲れたようだ。
今日はもう休むことにしよう。」

「あんたにしてはえらく早いね。
そういえば、おじさんやおばさんはどうしたのさ?
今日は全然見てないんだけど…」

「あぁ…今日のパーティは若い人達ばかりだから…と、いってこの近くの知り合いの所に行くとか言っていた。」

「そっか~…それでいなかったのか。
このドレス、見せたかったのになぁ…」

「あぁ、そうだ…
明日はこのあたりの観光に行くことになったからな。
では、私は休ませてもらうぞ。
君達も早く休んでおいた方が良いぞ。」

そういうとレヴはさっさと部屋を出ていった。



「……なんか変だね。」

「今日はあれだけ踊られてたんですもの。
きっとお疲れになったんですわ。」

「そうかもしれませんね…」

レヴが去った後も三人は遅くまで初めてのパーティの話題で話が尽きなかった。
三人にとってはそれほどまでに印象深い出来事だったのだ。
尽きない話は、夜明けまで続けられた。



そして、次の朝がやってきた。

「昨夜はよく眠れましたか?」

「いや、なんだか興奮してたみたいでよく眠れなかったよ。
あんなこと初めてだったんだもん。ところで、今日はどこに連れていってくれるんだい?」

「え…?何のことです?」

「サリー、今日はフレデリック達と行くのではないのだ。」

「どこかにでかけるのか?」

「あぁ…ちょっとな…」
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