緑と石の物語
「レヴさん、お待たせしました。
こちらがディサさん、そしてこちらがユスカさんです。
村のことを取り仕切って下さってるお二人です。」

しばらくすると、ディサとユスカを伴いったヴェールが戻って来た。



「はじめまして。ディサさん、ユスカさん…この度は本当にお世話になりました。」

「お元気になられて、本当に良かった…」

挨拶もそこそこに、 ディサは見ず知らずのレヴに優しい言葉をかけ、その手を握りしめた。



「これも、すべてあなた方のおかげです。」

「私達は何も…
ヴェールさんのお力やサリーさんのお気持ちがレヴ様を救ったんですわ。」

そういうとディサは穏やかな微笑みを浮かべた。

その笑顔を見た時…レヴは何か懐かしいものを思い出したような想いを感じたが、それが何なのかはわからなかった。



「ディサさん…
私の気持ちはやはり変わりませんでした。」

「では…また旅に出られるのですか…?」

「はい…」

「もしも、護り石のことや娘のことを気にされているのなら、そんなお気遣いは無用です。
あなたに異を唱える者などここにはいませんし、娘のことは…あの子はきっと大丈夫ですから…」

「ありがとうございます。
しかし、それだけではないのです。
あのアマゾナイト以外にも魔石があるとわかった以上、それを放っておくわけにはいかないと思うのです。
とはいっても、その石がどこにあるかもまだわかってはいません。
出会えるかどうかもわかりません。
そんな雲を掴むかのような話…と、思われるかもしれませんが、何もしないでいることは出来ないのです。」

ディサはゆっくりと頷いた。



「わかりました…
おそらくあなたはそうおっしゃるだろうと思っていました。
こちらのことはご心配なさらずに、あなたの信じた道を貫いて下さい。
けれど、決して無茶はなさらないで下さい。
そして、それらが片付いた時には必ず帰ってきて下さいね。」

「ヴェールのことなら大丈夫さ!
ヴェールには私がついてるから。
あ……ついでにレヴもね!」

「それでは、皆さんもご一緒に!?」

「もちろんだよ。
それにあと一人…」

「あと一人…?」

「なりゆきで一緒に旅をすることになった人がいてね。
なんでも行方不明になった恋人を探してるみたいなんだ。」


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