緑と石の物語
「い、いや、星が綺麗だなと思ってさ…」

「ならば、向こうのバルコニーから見た方がよく見えるぞ…」

レヴに着いて、サリーはバルコニーに向かった。
漆黒の空に灯りを飾りたがってるかのように、星達が思い思いにきらめいている。



「本当に綺麗だね…
ねぇ、レヴ、覚えてる?
十字星をみつけた時のこと…」

「あぁ…覚えてるとも。
あの星のおかげでヴェールと出会えたんだからな…」

「ヴェールと出会えて良かったと思ってる?」

「あぁ…彼は本当に良い男だ。
私の命の恩人でもある。
彼と出会わなかったら、私は今こうしてここにいることは出来なかっただろうからな…」

「そうだね…
……じゃあ……」

「……なんだ?」

「……なんでもないよ。」



『……あたしと出会って良かったと思ってる?』



サリーが聞きたかったその言葉は、サリーの口から発せられることはなかった。



その夜遅く、レヴはヴェールの部屋を訪ねた。

「……と、そんなことをサリーが言うのだが、やはりここは早くに出るべきだと思うか?」

「そうですね…
私は特にそんなことは感じたことはないのですが、こういうことは女性の方が敏感に感じるのかもしれませんね。」

「そうか…
私はやはり気が利かない人間なのかもしれないな。
言葉にして言ってもらわないと、そういったことはまるでわからないのだ。」

「男とはそういうものなのかもしれませんね。
私もそういうことはよくわかりませんよ。
……でも、リーズさんのことは良いのですか?」

「リーズさんがどうかしたのか?」

「いえ…別にたいしたことではないのですが、もう会わなくて良いのですか?」

「なぜだ?」

「……いえ……」

二人の様子を見ているとお互い好意を抱いているように見えたのだが、今のレヴの言葉ではそれも自分の思い過ごしだったのだとヴェールは思った。
そういえば、レヴは誰に対しても優しい。
だからこそ、勘違いをしてしまう女性も多いことだろう。
望めばどんな女性でも手に入れることが出来る…
そんなレヴが愛する女性とは一体どんな人なのだろう…?
あのローラよりも完璧な女性にめぐり会えることが出来るのだろうか?

ヴェールはふとそんなことを考えていた。
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