緑と石の物語
レヴ達が帰って来た時のサリーはほろ酔い加減でご機嫌だったのだが、夕食の席でリーズの話が出てからというもの、サリーの様子は一変した。
あおるようにワインをガブ飲みしては、からんでくる。
今のサリーには何を言っても無理だとレヴは諦めた。



「サリー、ブランデーをもらってきたぞ。」

レヴは琥珀色の瓶をサリーの目の前に差し出した。



「ブランデー?
そんなのがあるなら、もっと早くに出せってんだよ。」

「それは悪かったな。
さぁ、好きなだけやってくれ。」



(レヴさん、ブランデーなんて飲ませて大丈夫なんですか?!)

(あぁ、こうなったら飲みたいだけ飲ませて早く眠ってもらおう。)

(なるほど…そういうことでしたか。)

レヴの意図を知り、ヴェールもサリーのグラスにブランデーをなみなみと注ぐ。



「馬鹿!こんなにいっぱいにしちゃだめだろ!」

「すみません。私はお酒はあまり飲まないものですからよくわからなくて…」

「こんなに飲めるかっ!」

そう言いながらもサリーはグラスを空けていく。

レヴの作戦は功を奏し、やがてサリーは長椅子にもたれて眠り込んでしまった。



「やっと眠ってくれたか…」

「今日のサリーさんは大荒れでしたね。
今日でここを離れるから、羽目をはずしてしまったんでしょうか…」

「さぁな、よくわからん娘だからな…」

ジネットだけがサリーの荒れた原因に気づいていた。







「まだ眠いってば~…」

次の朝、サリーは起きてはいたが、まだ半分夢の中にいた。

レヴ達は、フレデリックとローラに別れを告げ、馬車に乗り込んだ。

サリーは馬車の中に乗り込むとすぐにごろんと横になる。



「そうだわ、レヴさん!
サリーさんがこんな状態ですから、レヴさんはリーズさん用の馬車に乗っていただけませんか?」

「私はかまわないが…」

「なんなら私がリーズさんの馬車に乗りましょうか?」

「いえ、ヴェールさんはこちらに乗って下さい!」

「…そうですか?
わかりました。」

ジネットに押しきられるような形で、レヴはリーズ用の馬車に乗り込んだ。
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