緑と石の物語
やがて、リーズの屋敷の前に着き、リーズとエリサが馬車に乗り込んだ。
「レヴ様、娘のことをどうぞよろしくお願い致します。」
門の前には、リーズの両親とヨハンが並び、恭しくレヴに挨拶をした。
「娘さんのことはどうぞご心配なさらないで下さい。」
レヴ達は、皆に手を振り馬車は走り出した。
「リーズさん、なにやらまたすごい荷物ですね。」
「は、はい。申し訳ありません。
また昼食をたくさん作ってしまって…」
レヴの顔を見ることもなく、下を向いて小さな声でリーズはそうつぶやいた。
まさか、レヴと同じ馬車で行くとは思っていなかったため、リーズは満足に息も出来ない程に緊張していた。
「リーズ様は、昨夜は緊張のあまり眠れなかったそうで、私がまだ眠ってる朝早くからまたお料理を作られて…」
「エリサったら、何を言うの!
私は緊張なんて…」
「屋敷までは少しあります。
良かったら、馬車の中で眠られたら良い。」
「い、いえ。大丈夫です!!
眠くなんてありません!」
*
「ジネットさん…さっきのことなんですが…」
「あぁ、あれですか…もしかしたら、ヴェールさんは気付かれていないのですか?」
「何をです?」
「リーズさんのお気持ちですわ。」
「リーズさんの…?」
ジネットにそう言われ、ヴェールはやっと気が付いた。
「なるほど。そうだったんですか、それで…」
「旅に出てしまえばもうレヴさんに会えることもないでしょうし…
リーズさんはあのようにとても可愛らしい方ですから、少しでも良い思い出を作られたら…と思いまして…」
「そうですね…それは良いお考えです。
でも、レヴさんはリーズさんのお気持ちに気付かれてるんでしょうか?」
「…残念ながら、気付いてらっしゃらないように見えますわ。」
「やはり、そうですか…
…こういうことはお伝えした方が良いのでしょうか?」
「お伝えしたら、レヴさんも気を遣われるかもしれませんし…言わない方が良いでしょうね。」
「私は恥ずかしいことに恋愛経験がないもので、そんなことがよくわからないのです。
ジネットさんはさすがによくわかってらっしゃいますね…」
「…え…えぇ、まぁ…」
ジネットは、苦笑いを浮かべた。
(皆さんには、私が恋人を探していると思われている。
私にはそんな人いないのに…
私が探しているのは新しい森の長。
ダニエルさんとオルガ様のご子息…
いまだ、どんな方なのかもわからない方なのに…)
「レヴ様、娘のことをどうぞよろしくお願い致します。」
門の前には、リーズの両親とヨハンが並び、恭しくレヴに挨拶をした。
「娘さんのことはどうぞご心配なさらないで下さい。」
レヴ達は、皆に手を振り馬車は走り出した。
「リーズさん、なにやらまたすごい荷物ですね。」
「は、はい。申し訳ありません。
また昼食をたくさん作ってしまって…」
レヴの顔を見ることもなく、下を向いて小さな声でリーズはそうつぶやいた。
まさか、レヴと同じ馬車で行くとは思っていなかったため、リーズは満足に息も出来ない程に緊張していた。
「リーズ様は、昨夜は緊張のあまり眠れなかったそうで、私がまだ眠ってる朝早くからまたお料理を作られて…」
「エリサったら、何を言うの!
私は緊張なんて…」
「屋敷までは少しあります。
良かったら、馬車の中で眠られたら良い。」
「い、いえ。大丈夫です!!
眠くなんてありません!」
*
「ジネットさん…さっきのことなんですが…」
「あぁ、あれですか…もしかしたら、ヴェールさんは気付かれていないのですか?」
「何をです?」
「リーズさんのお気持ちですわ。」
「リーズさんの…?」
ジネットにそう言われ、ヴェールはやっと気が付いた。
「なるほど。そうだったんですか、それで…」
「旅に出てしまえばもうレヴさんに会えることもないでしょうし…
リーズさんはあのようにとても可愛らしい方ですから、少しでも良い思い出を作られたら…と思いまして…」
「そうですね…それは良いお考えです。
でも、レヴさんはリーズさんのお気持ちに気付かれてるんでしょうか?」
「…残念ながら、気付いてらっしゃらないように見えますわ。」
「やはり、そうですか…
…こういうことはお伝えした方が良いのでしょうか?」
「お伝えしたら、レヴさんも気を遣われるかもしれませんし…言わない方が良いでしょうね。」
「私は恥ずかしいことに恋愛経験がないもので、そんなことがよくわからないのです。
ジネットさんはさすがによくわかってらっしゃいますね…」
「…え…えぇ、まぁ…」
ジネットは、苦笑いを浮かべた。
(皆さんには、私が恋人を探していると思われている。
私にはそんな人いないのに…
私が探しているのは新しい森の長。
ダニエルさんとオルガ様のご子息…
いまだ、どんな方なのかもわからない方なのに…)