緑と石の物語
*
「エリサ…私…明日帰ります…」
「リーズ様!
サリー様に言われたことを気にしておいでなのですか?」
「そうじゃないわ…ただ、私がいたらお邪魔なようなので…」
「何をおっしゃってるんです!
レヴ様達はリーズ様のことを邪魔だなんて思ってはいらっしゃいませんわ。
皆さん、リーズ様にはとても優しくして下さってるじゃありませんか!」
「それが申し訳ないのです……
私なんかのために、皆様に気を遣わせてしまってることが…」
その時、誰かが扉をノックする音が部屋に響いた。
「はい。どなたでしょうか?」
「レヴです。」
「まぁ、レヴ様…!」
レヴが来た事を知ってリーズは焦る。
「エリサ、待って!」
その言葉を言い終わらないうちに、エリサはドアを開けていた。
「まぁ、ヴェール様も…」
「遅い時間に申し訳ありません。」
「いえいえ、リーズ様はふだんからけっこう夜更かしなのですよ。
早くお休みになるよう申し上げても、ちっとも聞いて下さらないのです。」
「エリサッ!」
「私は、お茶の用意を…」
「エリサ…!!」
エリサはさっさと席を離れていった。
(あぁ、どうしましょう…レヴ様は、私に一体何のお話がおありなのかしら…?)
「リーズさん…先ほどは大変申し訳ないことをしてしまいました。」
「えっ?」
「リーズさん…サリーさんは多少口が悪い所はありますが、根は本当に良い方なんですよ。」
「…………」
「以前、ジネットさんが旅の仲間に加わった頃も、ぎくしゃくしてしまったのです。
彼女は打ち解けるまで時間のかかるタイプ…と、でもいいますか…
特に女性とはそうなるようなのですが、決して悪意があるわけではないのです。
だからと言って、あなたを不快な想いにさせたことには変わりはないのですが…
どうか、許してやってほしい…」
「私からもお願いします。」
「そんな…
レヴ様もヴェールさんもそんなことおっしゃらないで下さい。
私は何も不快な想いなんてしてません!
もっとお料理の腕を磨いてサリーさんに喜んでもらわないといけない!…なんて、考えてたんですよ!」
リーズが無理をしていることは、ヴェールやレヴにもよくわかっていた。
だからこそ、その強がりを二人はあえて受け入れた。
「そうだったんですか。
では、うちに着いたら、シェフに料理を教えてもらうのもいいかもしれませんよ。
うちのシェフの料理をサリーはすごく気に入っているのです。」
「私…頑張ります!」
「リーズさん…もしなにかあったらレヴさんに相談されると良いですよ。
こう見えてもレヴさんはとても頼りになる方ですから…」
「ヴェール…『こう見えても』とはどういうことだ…?」
「あ…失言でしたね…!」
微笑み合う二人が、リーズにはまるで兄弟のように見えた。
「レヴ様はご兄弟はいらっしゃらないんですよね?」
「…ええ…いませんが…」
「あ…突然変なことを聞いてすみません。
まるで、お二人がご兄弟のように見えたものですから…」
「…不思議とよくそんなことを言われるのですよ…」
レヴとヴェールは再び、顔を見合わせて微笑んだ。
「エリサ…私…明日帰ります…」
「リーズ様!
サリー様に言われたことを気にしておいでなのですか?」
「そうじゃないわ…ただ、私がいたらお邪魔なようなので…」
「何をおっしゃってるんです!
レヴ様達はリーズ様のことを邪魔だなんて思ってはいらっしゃいませんわ。
皆さん、リーズ様にはとても優しくして下さってるじゃありませんか!」
「それが申し訳ないのです……
私なんかのために、皆様に気を遣わせてしまってることが…」
その時、誰かが扉をノックする音が部屋に響いた。
「はい。どなたでしょうか?」
「レヴです。」
「まぁ、レヴ様…!」
レヴが来た事を知ってリーズは焦る。
「エリサ、待って!」
その言葉を言い終わらないうちに、エリサはドアを開けていた。
「まぁ、ヴェール様も…」
「遅い時間に申し訳ありません。」
「いえいえ、リーズ様はふだんからけっこう夜更かしなのですよ。
早くお休みになるよう申し上げても、ちっとも聞いて下さらないのです。」
「エリサッ!」
「私は、お茶の用意を…」
「エリサ…!!」
エリサはさっさと席を離れていった。
(あぁ、どうしましょう…レヴ様は、私に一体何のお話がおありなのかしら…?)
「リーズさん…先ほどは大変申し訳ないことをしてしまいました。」
「えっ?」
「リーズさん…サリーさんは多少口が悪い所はありますが、根は本当に良い方なんですよ。」
「…………」
「以前、ジネットさんが旅の仲間に加わった頃も、ぎくしゃくしてしまったのです。
彼女は打ち解けるまで時間のかかるタイプ…と、でもいいますか…
特に女性とはそうなるようなのですが、決して悪意があるわけではないのです。
だからと言って、あなたを不快な想いにさせたことには変わりはないのですが…
どうか、許してやってほしい…」
「私からもお願いします。」
「そんな…
レヴ様もヴェールさんもそんなことおっしゃらないで下さい。
私は何も不快な想いなんてしてません!
もっとお料理の腕を磨いてサリーさんに喜んでもらわないといけない!…なんて、考えてたんですよ!」
リーズが無理をしていることは、ヴェールやレヴにもよくわかっていた。
だからこそ、その強がりを二人はあえて受け入れた。
「そうだったんですか。
では、うちに着いたら、シェフに料理を教えてもらうのもいいかもしれませんよ。
うちのシェフの料理をサリーはすごく気に入っているのです。」
「私…頑張ります!」
「リーズさん…もしなにかあったらレヴさんに相談されると良いですよ。
こう見えてもレヴさんはとても頼りになる方ですから…」
「ヴェール…『こう見えても』とはどういうことだ…?」
「あ…失言でしたね…!」
微笑み合う二人が、リーズにはまるで兄弟のように見えた。
「レヴ様はご兄弟はいらっしゃらないんですよね?」
「…ええ…いませんが…」
「あ…突然変なことを聞いてすみません。
まるで、お二人がご兄弟のように見えたものですから…」
「…不思議とよくそんなことを言われるのですよ…」
レヴとヴェールは再び、顔を見合わせて微笑んだ。