緑と石の物語
レヴが去った後…リーズはレヴのハンカチを綺麗に洗い、ガラス窓に張り付けた。

ハンカチを見ているとレヴの顔と言葉が思い出され、嬉しさと恥ずかしさと切なさの入り混じった感情がこみあげる。



(レヴ様は、私があんなみっともない真似をしたのに怒ってらっしゃらなかった…
本当にお優しい方だわ…
…あ!私ったら、また白百合のお礼を言い忘れて…あぁ、なんてこと…!!)



「リーズ様、早くお休みになって下さいよ。
明日の朝早くに、ここを発つんですよね?」

「そ…それは…」

「今度こそ、なにがあっても絶対に帰るんですよね?!」

「……それが…私、やることがあったのを思い出してしまったの!」

「こんな時間からですか?」

「そうよ!私の責任だからやらなくちゃ!!
エリサは休んでてちょうだい。」

そう言い残し、リーズは部屋を出ていった。







次の朝…食卓には様々なフルーツのジャムやマーマレードが並んでいた。

「なんと!これもリーズさんが作られたのですか?」

「はい。昨日、調子に乗ってたくさん採りすぎましたので…
これだったら、日持ちもすると思いまして…」

「リーズさん、まさか夜中にこれを?」

「ええ…思い付いたら眠ってられなくて…」

「あんた、本当にいつも思いつきだけで行動するんだね。」

「そういう所は君と似てるんじゃないか?」

「あたしは、夜中にジャム作ったりなんてしないよ!」

サリーの反撃に、レヴは素知らぬ顔でパンにジャムを塗っていた。
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