〜その唇は嘘をつく〜
「それならまず戻ってきた日に女の人と家の前でキスなんてしてないで、マイナスイメージをなくすように努力するべきじゃない⁈」
「それって嫉妬…私が思うにこれだけしたたかに仕掛けてくるんだからそれもワザとだったりして」
「ワザと⁇」
「そうよ。ゆずが見ているの知っていてなんじゃないの⁈」
そういえば…こっちをちらっと見ていた。
「えっ…えー」
「思い当たるんだ……戻ってきたのも計画的なのかもね」
もう、何がなんだか…
そうだと嬉しいと思う反面、どうして⁈と考えてしまう。
「あー、訳わかんないよ」
テーブルの上にうつぶせる。
「悩め、なやめ…恋愛音痴には難しい課題だ」
ふふふと笑い、缶ビールを飲む楓が悪い笑みを浮かべた。
「いっそのこと、ゆずから仕掛けて悠さんに好きって言わせてみたら…」
「はい⁇」
「私に任せなさい。悪いようにしないから…うふふふ、今日は泊まって行きなさい」
もう、悪い顔してますよ。
そして私は、楓の指示通りに実行する。
だって…悠の心が知りたいから
日曜日
遅くまで恋愛のなんたるかを楓に伝授されて、目が覚めたのは昼近くなってからだった。
「よーし、買い物に行くわよ」
「何を買うの⁇」
「ゆずに必要な物」
「なによ?」
「いいから…私に任せなさい」
ショッピングモールの中で、軽くお昼を済ませ向かった先は下着売り場。
「白のフリフリレース…ピンク…黒もいいわね。あっ、これこれがいいわ」
楓が勧めたブラジャーは、黒いカップを白のレースで覆って白と黒のグラデーションがきれいな物だった。
「はい…セットのショーツ」
手渡しされて更衣室で着替えくるよう顎で促された。
「ゆず…まだ⁇」
「……これ、なんかエッチぽいんだけど」
「当たり前じゃない。ワザとそういうの選んだんだから…見せて」
ガバッとドアが開く。
「ちょ、ちょっと…」
「……うん…いいんじゃない。エロいけどわざとらしくない。そのまま着て帰るからね」
「えっ…」
店員さんが値札を取っていく。
やだ…キスマーク見られた。
でも、そこはさすが…気づかない素振りで胸をきれいにカップにしまっていく。
自分でするより、ボリュームアップした胸に頬が緩んでいた。
会計を済ませると
「次、行くわよ」
って、どこですか?
歩きながら、服を探索する楓にあっちこっちと振り回される。