〜その唇は嘘をつく〜

「愛してるよ」

と、甘い言葉でとどめのセリフを吐く男によって甘い闇に堕ちていく。

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目覚めの朝は、バージンを失った痛みより体中痛いやら、力が入らないやらでなかなか動けない。

もう、信じられない。

横で幸せそうに寝ている男の鼻を摘んでやる。

痛みに眉間にしわを寄せる悠に、ちょっとだけ仕返しできた満足感を味わった。

それでも‥起きない男。

それは、そうだろう。

日が昇る数時間前まで起きていたのだから…

今日は、仕事が休みだという男を置いてそっとベットを抜け、よろつきながらシャワーの浴びに向かった。

暖かいシャワーを頭上からかぶり数時間前までの汗を流せば、目につく赤い痕の他に至る所にピンクの花が咲いている。

これは、愛してるって言葉を言わされた数。

そして、悠が愛してると囁いた数と正比例する。

悠の愛が体に刻まれた印

悠が隣に戻ってきて数日のうちに激変した関係。

だけど、これも悠の思惑だったなんて…

あんなに想われていたなんて知らなかった。

小さな時の約束を忘れずに覚えていてくれたこと

悠に投げつけたオモチャのネックレスを大事に持っていてくれたこと

私の周りの男子にずっと『柚月は俺の女だ』と牽制していたこと…これには若干、引いた。

私が大学を卒業して社会人になると自分の目が行き届かないからと隣に戻ってきたこと…ここまで聞いた時には、嬉しすぎてこそばゆくて笑えた。

就職祝いだと思っていたこのネックレスは、実はプロポーズだったなんて…

普通は、指輪じゃないのって聞き返したら…約束だったからと照れていた悠が愛しくてかわいいといって抱きついた。

かわいいって言葉がお気に召さなかったようで、そこから2回戦に持ち込まれ日が昇るまで攻め立てられた。

自分の女関係を棚に上げ、愛の言葉とともに最後の印を残した時に

「キスマークつけるほど独占したいんだ」

そんな甘いセリフで独占欲をあらわにされれば、過去の悠の女関係なんてどうでもよくなる私は…すでに悠に毒されてる。

「悠…愛してる。いっぱいキスして…これからは私だけを…愛して…」

「…俺の心をずっと独占しているのは柚月だけだよ。これからも変わらない。愛してる」

甘いくちづけを交わし、眠りについて今に至る。


月曜日

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