〜その唇は嘘をつく〜
はっきりと聞こえた。
女誑しか…
自業自得だな。
ここまで嫌われているのなら俺は、柚月から離れよう。
そう決心して県外の大学に進学した。
だが、自暴自棄になっていた俺は勉強よりも遊ぶことに一生懸命になり、柚月に会えない寂しさを他の女で紛らわせていた。
サイテーだ。
柚月の望む通りの女誑しになり下がった。
高校生の柚月の様子を瑛斗は、メールや電話で報告してくるけど、俺の心を引っ掻き回す内容ばかりだった。
高校生にもなれば噂は噂でしかなく、柚月に近づく奴がチョコチョコ出てくる。
高校が違う瑛斗の計り知れない範囲で起こる告白を止める術がなく、彼氏という立場に立つ見知らぬ男に嫉妬する。
だが、瑛斗の力によって妨害が始まり、彼氏という存在は消えていく。
そんなことを繰り返した柚月の高校時代も大学生になれば、県外へと進学した瑛斗の力がおよばなくなった。
俺は相変わらず、来るもの拒まず、去る者追わずの体たらく。
柚月の側にいれないことで、こんなにもダメな男にしてしまった自分自身に笑える。
柚月に認めてもらえる男になればいい
もう一度、振り向かせればいいんだ。
数年かけてやっと出た答え。
俺は、大学卒業を機に身辺を整理し、新たな気持ちで前向きになり地元に戻ることにした。
柚月を手に入れるため
俺自身が手をくだし柚月の恋愛を妨害する。
俺は、柚月のことになると病んでいる。
きっと、一生、治らない病気なんだ。