魔王のオモチャ
「ねぇ、魔王のことが大好きなあなたなら知っているわよね?
魔王は女が大嫌いなことを…」
『もちろん知っているよ
僕は魔王の全てを知っているんだ
そんなこと知らないはずないだろう?』
魔王の好物や嫌いなもの
魔王のスリーサイズ
魔王のお気に入りのパンツまで僕は知っているんだ!
いつもなら、魔王が毎日いるときは
魔王の今日の下着まで分かっていたのに…
魔王いないんだもん…
「魔王は女嫌いで
あなたたちが特別
あなたは魔王の全てを知っている
そう言うことでいいのね?」
『……だから、そう言っているだろう?』
この女……何が言いたいんだ?
「魔王はあなたたちに隠していることがあるわよ」
『なっ…!僕らに隠していること…!?
フッ…嘘だね
魔王が僕らに隠し事なんてするわけがない』
もし隠し事があったとしても
何故、この女がそれを知っている?
この女が知っていることを
僕が知らないはずないだろう?
「可哀想にね
あなたたちは、魔王の特別でも何でもないのよ
ただの手下にすぎないの」
『君の話は飽きたよ
じゃあ、死んでもらおうかな?』
ムカつく…
なんだよ、この女…
魔王の秘密を知っているみたいな顔してさぁ…
ウザいんだよ!
僕は女に攻撃しようと魔術を放とうとしたとき……
「ぐっ……」
「し、シャーナ…っ!!」
女が僕の目の前から消えて
勇者を殺そうと魔術を放っていたブランに背中を向け勇者を庇っていた
僕とブランは驚いた
女が勇者を庇ったことじゃない
女の背中に、僕らがよく知っている印がついていたからだ……
そのことに、まだ勇者と魔導士の女は気づいていなかった