魔王のオモチャ






俺は屋敷のメイドたちと同様に
その女を抱いた

別に好きなど、そんな感情はなかった




ただ、毎日が退屈だったから
暇つぶしとして遊んでやっただけだ









でも、メイドもその女も
俺に本気になってしまい、メイドはクビ

その女は、もう俺に会いに来なくなった





女はあろうことか、この屋敷の娘の一人で、俺は実の父親である男に何度も暴力を受けた










『卑しい男だ!
俺の娘にまで手を出すなんて!

清い娘が毒されてしまった!』











そんな言葉を毎日のように吐かれ暴力を受けた











清い娘……?
ははっ。笑わせるな

お前が清い娘と思っている女が先に俺を誘ってきたんだ


てめぇと同じだよ












何ヶ月か俺はその暴力に耐えてると
また男は俺の前から顔を出さなくなった

もう一人の娘が結婚し、子どもが出来たからだ

男は俺の存在なんて忘れて
温かい家庭を築いていた







でも、それはほんの一瞬に過ぎなかった
理由は、簡単だ

男の妻が俺と浮気をしていたからだ





男の妻は、娘と同じように
男がいない時間や日は、俺に会いに来ていた
興味本位だったのだと思う



最初は、話す程度だった
だけど俺は、男に復讐したい気持ちがあったから男の妻を誘った

男の妻は、簡単に俺に堕ち
娘同様、毎日のように会いに来ては俺を求めた




それが男にバレ、俺はまた男から暴力を受け始めた

暴力ならまだしも、今度は俺を許すつもりはなく





俺は金で雇われた魔導士に
一人、魔界に送られた










『娘と妻を誘惑して誑かす、魂が穢れているお前にピッタリの場所だ

悪魔は魔界に帰れ!!』











それが男……

実の父親の最後の言葉だった……





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