魔王のオモチャ






『ま、待ってください、魔王様!!
この人間を、俺たちは攫ってきていません!!

この魔界でふらついていたのです!』












中級悪魔たちは焦ったように
綺麗な顔をしている男に向かって言い放った












こ、コイツが魔王…!?




メイドたちの話には聞いていたが…

本当にこの世のものとは思えないほど整った顔立ちをしている……














俺は放心状態になり
魔王の姿をただ黙って見惚れていた













『あ?魔界を彷徨っていただと?
ただの人間がこの場所に来れるわけねぇだろ

それとも、なんだ?
この人間は、ただの人間じゃないとでもいうつもりか?』













男は俺に綺麗な顔を近づけると
いきなり、俺の肩に鋭い牙を突き立ててきた











「イッ…っ!」




『やっぱり、ただの人間じゃねぇか』












魔王は俺から牙を離すと、口元についていた俺の血を指でとり舐めて言った













な、何すんだ、いきなり…!

しかも、なんか超痛かったのに…




なんだ?
なんか、変な感じがする…

なんか女たちを抱いていたときみたいな
気持ちが昂ぶる感じ…












『あーあ、クッソ…

人間臭ぇ…』









「……っ…はぁ…はぁ…」













な、なんなんだよ…この気持ち…

身体が熱い…息が上手く出来ない…












『魔王様、この人間…どうしますか?』








『あー、そうだな…
好きにしろよ』








『よっしゃー!!

ありがとうございます!』









「な、なんだ…こっちくんな…っ!」












悪魔たちは、俺を一斉に狙い襲ってきた
俺は身体がおかしくて、逃げられなかった









「イッ…がぁぁあっ!!」









悪魔たちが俺の身体を噛んで食べている











痛い…っ

父親に暴力を受けたときの比じゃない



生きたまま食べられる
肉が裂ける、血が吹き出す




死ぬ…っ!





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