魔王のオモチャ
『魔王になんて口を…!!』
『魔王、僕が殺すよ
目障りだ』
『いや、俺が殺す
二度もやられて、黙っちゃいられねぇ』
『まあ、待てよ
お前らがシャーナを殺したら意味がねぇ
あの女は、もっと苦しめないとな……』
魔王は私を睨みつけると
勇者を見て、勇者の腕を掴み
私の側まで放り投げた
「痛…っ」
『勇者!』
勇者は、目が覚めたみたいで
お腹を抑えながら身体を起こした
「…っ…シャーナ、大丈夫か…っ」
勇者は自分の傷より
私の傷を心配していた
私はそんな勇者を見て安心していた
勇者は私を嫌っていないと分かったから…
『さてと、勇者が目覚めたんだし…
ゲームを始めますか』
「ま、魔王…っ!?
いつの間に!?」
勇者はさっきのことを覚えていないみたいで、魔王を見て目を大きく開かせていた
『シャーナ
知っているか?
悪魔の血をもらうと
そいつは、その悪魔の眷属になるんだ
だから俺の命令は絶対服従
心と関係なく、身体が動いちまうんだぜ?』
『何が言いたい』
『頭のイイ、お前なら分かるだろ?
俺が今からしようとしていること…』
『……っ…!』
ま、まさか……
『さあ、シャーナ
お前が悪魔になって最初の命令だ
勇者を殺せ』
「なっ…!?」
勇者は、魔王の言葉に私を見てきた
私は心とは裏腹に、身体が勝手に動いた
『いやだ…っ…お願い、勇者逃げて…!』
「し、シャーナ!」
私は勇者に向かって魔術を放った
勇者は、間一髪で避けたけど…
お腹の痛みで、そんなに素早く動けないでいた
やめて…っ
お願い、やめて…っ!
勇者を殺したくない…!
お願い、止まってよ!!
心で思いっきり叫んでいるのに
身体は次々と勇者に向かって魔術を放っていた
勇者……
勇者……っ!
お願い、逃げて…っ!