魔王のオモチャ






〜 シャーナ 視点 〜













『ゆ、勇者…

勇者…っ!!ねぇ、起きて!!
お願い!死なないで…っ!!勇者…っ!』














私は、魔王の命令を実行してやり遂げたのか、身体の自由を取り戻した



私は勇者を抱きしめて、勇者の身体を揺すり必死に声をかけたが…

勇者は目を開けることすら、言葉も発してはくれなかった














『勇者ぁぁぁあ…っ!!』












勇者は私の腕の中で、どんどん冷たくなってきて

勇者が死んだのだと突きつけられた















勇者…っ!

勇者…っ!




私は、自分の手で…

愛する人を殺してしまった…っ!






勇者…っ!

いかないでよ…っ!




お願い、もう一度目を開けて…っ!














そう願っても、勇者は目を覚まさなかった












『勇者……』













勇者を一人にしない……

私も勇者の元へ……



そうすれば、勇者にまた会える…
















私は勇者の側に落ちていた剣を取り
自分の身体に突き刺そうとしたが……















『チッ。ふざけんじゃねぇぞ!!

俺の許可なしに勝手に死のうとしてんじゃねぇ!!』









『……っ…!!』














私のしようとしていることが分かったのか、魔王はいつの間にか私の側にいて
剣を奪い、私の身体を吹き飛ばした














『…っ……ま、魔王…』






『はぁ………』















私は魔王を睨むと
魔王は深いため息を吐き私に近づいてきて
私の前髪を掴み、魔王と目を合わさせた















『言ったはずだ
てめぇは、俺のだ

俺の命令なしに勝手に死ぬことは許さねぇ




これは命令だ

俺の命令なしに勝手に死ぬな』


















魔王は私を見つめると、言葉で私を縛り
自分の手で死ぬことが出来なくなった















『……私が憎いんでしょう!?

だったら、殺しなさいよ!!』















私は魔王の顔に唾を吐き、怒鳴った













私を十分に傷つけたでしょう!?


なら、殺して…っ!!






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