魔王のオモチャ
『はぁ……
久しぶりだな、元の姿に戻るの…』
『オヤジ…』
『オヤジじゃないでしょう?
パパって言ってって、あれ程言ってるのに〜』
『本当の父親じゃねぇんだから
オヤジって言うだけ、有難いと思え』
イバンは……
俺の本当の父親じゃない
俺はイバンから血を与えられ
悪魔になった
そのときに、イバンが……
僕の血が流れているんだから
パパと呼んで欲しいと言ってきたので
オヤジと呼んでいる
イバンは、そんな俺を不満そうな顔で見ながらも受け入れている様子だった
『本当に俺様だなぁ〜
まあ、実力ある魔王だから仕方ないんだけどさ』
イバンは、へらへらと笑いながら
マーリたちの方に足を運んだ
『君たちも、シャーナと同じ
トヨから血を与えてもらったんだね?
どれどれ〜』
ガブッ……
『痛っ…!』
マーリの肩にイバンは噛み付いて
血を飲んでいた
『あ…あ…』
『うん、美味しい♡
でも、トヨがやっぱり一番美味しいかな〜?』
マーリは、放心状態になり
頬を赤く染めて、イバンを見つめていた
チッ。クソ…!
『マーリ。飲め!』
『あ……んん』
俺は自分の腕に噛み付いて
マーリに近づき、マーリの口に俺の腕をあてつけた
マーリは俺の血の匂いで、無意識に俺の腕を噛んだ
『……っ…オヤジ!!
てめぇ、俺のもんを取るつもりか!!』
『ああ…ごめんごめん!
忘れてたよ
しばらく、人間を誘惑してこなかったから
自分の牙がそういうものだって忘れてた』
俺ら、人間から悪魔になった奴等より
純粋な悪魔は、牙の力が強い
牙の力が強いってことは…
媚薬が強いってことだ
マーリは、オヤジの牙で噛まれて
強い媚薬を打ち付けられ、オヤジを物欲しそうな顔で見つめていたんだ
危うく、マーリは俺のものじゃなく
オヤジのもんになるとこだった