魔王のオモチャ







『可哀想な光くん

シャーナが君のことを好きでも…
このことを知れば、君の想いを捨て

トヨとよりを戻すかもしれない……



きっと、君は……

シャーナに捨てられちゃうね…?』










「シャーナ………っ」













サビトは、俺に近づくと俺の頬を撫でて
哀れな瞳で俺を見つめていた












『ふはっ。
君って、ホントいい表情するね〜

今の君……
この世の終わりみたいな顔してるよ〜?



あー……
もっと悲しんで苦しんでよ

もっと、君の甘い蜜を僕に吸わせて……』









「………っっ…!!」














サビトは、そう言って俺の首筋に顔を埋めるとペロリと舐めてきた

俺は、鳥肌がたち
すぐにサビトの肩を押して俺から離した













『あー、まだ完全に堕ちてなかったか……』








「お、お前……っ!」









『ん?ああ、大丈夫だよ
そんな怯えなくても

光くんを本当に食べたりしないよ


光くんを一口でも味見したら
僕が死んじゃうからね〜』













あっ……

そうだ


前に悪魔に噛まれたとき
その悪魔、死んだんだった……


俺は、勇者だから神聖な身体なんだ
だから悪魔にとったら、危険な身体なんだったよな?



なら、食べられる心配はない…か……













『まあ、僕が君を勇者にしたんだから…

いつでも、勇者から
普通の人間に戻すことは出来るよ


人間に戻したら……

いっぱい、君の血を飲んであげるね〜?』









「絶対にやるもんか!!」












悪魔なんかに飲まれるくらいなら…

大量に献血してもらうわ!













『さて、馬鹿な話はこれくらいにして…

勇者。君は今からトヨと闘ってもらう


もちろん、負けたら死ぬと思った方がいい


トヨは、本気で君を倒しにくる
死ぬ気で闘った方がいい』











「トヨが………

い、いや…待てよ!
俺、死んだはずじゃ……」













確か、シャーナに刺されて……

死んだはず…じゃ……













『大丈夫。僕が生き返らせたから
君は死んでない

でも、もう僕は君を助けないよ


君は、勇者なんだから
自分の力で魔王を倒さないとダメだよ』











「自分の力で………」












『じゃあ、意識を戻すよ

面白い戦いを僕に見せてね?』
















そうサビトが言った瞬間……


俺は空間に吸い込まれるように、意識を失った







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