魔王のオモチャ
『何やってんだ
さっさと立て』
「……………嫌だ」
『はあ?』
勇者は、座ったまま
俺を真っ直ぐに見つめて、俺との戦いを拒んだ
嫌だ?
何言ってやがる
この状況で、嫌なんていうか?
「やめよう……
こんな戦い……無意味だよ…」
『お前、マジで何言ってやがる
無意味?
無意味なわけねぇだろ
お前は俺を倒さないと
人間どもが一人残らず死ぬことになんだぞ?
それでもいいのかよ?』
「…………………俺は、それでも…
君とは戦いたくない」
俺は、勇者のその言葉に驚き
勇者に近づいて、勇者の襟を掴み無理矢理立ち上がらせた
『それが勇者のセリフか?
はっ。見ろよ、シャーナもお前の言葉に呆れてるぜ?』
シャーナを見ると、俺と同じで
勇者の言葉に驚いた顔で勇者を見つめていた
「………………俺が君と戦っても…
シャーナは……いや、グレンダは喜ばないよ……」
『………っ!!』
グレンダ……
何故その名前を…
そのことを……知ってるんだ……!?
『てめぇ、どこでそれを…………』
「トヨ……やめよう…
もう…こんなことやめよう………
グレンダは、君を裏切ってない
君を生かすために、君と別れ………グアッ…!!」
『うるせぇ、黙れぇ!!』
俺は勇者の首を絞め、勇者の言葉を封じた