魔王のオモチャ





〜 トヨ 視点 〜








「ぐぁぁぁあ……っ!」









俺は、何度も勇者の身体に攻撃を入れたが……

勇者は、そのたびに立ち上がってくる



俺は、そんな真っ直ぐな瞳で俺に向かってくる勇者に腹が立ち

俺は本気で勇者を殺そうとした



だけど、それでも……
勇者は傷を負いながら、身体中から大量に血が出ていようが立ち上がってきた










なんなんだ、コイツ……

なんで、死なねぇんだよ…!












勇者の攻撃は、俺には当たらない
だけど、勇者の動きや剣の威力が増幅しているのに気づいた










まさか……

コイツの想いで、剣が勇者に力を貸してるのか……











俺は、オヤジをチラリと見ると

ニコニコ笑みを浮かべて、俺らの戦いを見ていた










オヤジ……

あんたが選んだ勇者は……


最高だぜ…っ!











俺の攻撃を受けて、立っていられたヤツは今までいなかった

勇者は、魔王を倒すためにいる存在……


魔王に簡単にやられるわけねぇよな…










『グッ………』




「ははっ……
やっと、一発入ったな…っ」












俺のちょっとした隙に勇者は反応して
俺の身体にすかざす剣を入れた










『…………………傷…』












俺が傷を負った……




クフッ。あはははは…っ!!

やべぇ、楽しすぎる












『ははっ。もっともっと楽しませろ、勇者!!』




「……っつ…」











俺が笑顔で勇者に攻撃を入れているのを勇者は見て

身体を一瞬ビクリとさせたが……
すぐに真っ直ぐな瞳で俺に向かって攻撃を入れてきた











はははっ。

やべぇ………


勇者、どんどん強くなってんな……

あと少しで俺と互角か?



いや、これはもっと伸びるな……

俺を倒すとこまでくるか…?


いいぜ。受けてたつ

付き合ってやるよ、勇者!












俺は勇者がどんどん強くなっていくのを見て、もっと楽しませてほしいと

勇者に何度何度も攻撃を入れた



勇者は強くなる一方で

俺の動きを見切っていた






勇者と戦って何分経ったか分からねぇが…

俺は勇者の力におされていた













やべぇ……

マジで俺、負ける…か……?



ははっ。強くなりすぎだろ勇者……

やっぱ、想いの力ってやつか…?















「トヨ……っ!」



『ぐぁ…っ!』














勇者は最後の力を込め、俺に一撃を食らわせた

俺は、その攻撃を避けれなかった




力の使い過ぎと……

勇者の剣の力で身体が毒に犯されていたからだ




勇者の剣に悪魔が少しでも触れれば

何か悪魔には有害な毒みたいなものがあり


俺は、その毒があちこちに犯され
最後の一撃で、毒が全身にまわり

俺はその場に倒れた














負けた………

俺は、勇者に負けた……


こんなひ弱で、すぐに倒せると思っていた勇者に……

俺は負けた……












「トヨ……っうぅ……」





『自分が倒した相手に心配そうに声かけんじゃねぇよ……グッ…!』















自分の心配をしろよ……

俺よりもボロボロな身体で……


俺の心配なんてしてんじゃねぇよ






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