魔王のオモチャ
終わらない結末
〜 光 視点 〜
「と、トヨ……っ!!
お、おい…っ!しっかりしろ!!」
『勇者、離れて
危ないわ』
シャーナは、俺の肩を掴むと
トヨから離れさせた
「何したんだよ、シャーナ!!
トヨが……トヨが苦しんでるじゃないか!」
『…………?何言ってるの勇者…
魔王が苦しんでもいいじゃない
私たちは、魔王を倒しに来たのよ?』
「倒しには来たけど……
殺しに来たわけじゃない!!
は、早く……
ニーナ!トヨを助けてくれ…っ!」
『えっ……!?で、でも……』
俺はシャーナの言葉は否定して
トヨに近づき、ニーナに助けを求めた
だけど、ニーナはシャーナと同じ気持ちなのかトヨを助けることに戸惑っていた
「ニーナ!!
お願いだから!トヨを助けてくれ!」
『馬鹿なことを言わないで勇者!!
魔王なのよ!?
勇者が魔王を助けるなんて…っ!』
「勇者だから…
魔王だから……ってなんだよ!!
そんなの関係ないだろ!!
目の前に苦しんでるヤツがいるんだぞ!
助けないなんて、おかしいだろ…っ!!」
勇者とか…
魔王とか…関係ねぇよ!
トヨは、苦しんでるんだよ!
助けないといけないだろ!!
「ニーナ!早く、トヨを…………」
「ちょっと待って勇者ちゃん……
なんか、魔王の様子がおかしいよ…」
「えっ………?」
俺はシュンの言葉に驚き
すぐに、トヨを見た
俺は、シュンの言うとおり
トヨの様子がおかしいことに気づいた
トヨは、先ほどの苦痛な叫びを止め
気を失っていたが……
トヨの身体が……
トヨの身体から……
悪魔の気配が無くなっていたんだ……
「ど、どういう…………」
『はいは〜い♪
ちょっと退いてね〜』
「サビトさん………!?」
「えっ……!?
な、何故サビトさんがここにいるんですか…!?」
サビトは、俺の目の前に来ると……
トヨを抱きかかえ、俺たちにニコリと微笑んだ
ニーナは、サビトさんがいたのに驚き
声を張り上げていた
『光くん、ご苦労様〜♡
まさか、トヨを倒しちゃうなんて〜
すっごい〜♡』
「さ、サビトさん……」
『もう安心だね!
トヨは、魔王………いや、悪魔じゃなくなったから人間は平和に暮らせるね!』
「えっ……!?」
い、今……
サビトさん、なんて言った……?