魔王のオモチャ





〜 トヨ 視点 〜








「クソッ……!
一体、何が起こってやがる!」










俺は、地下牢から女の寝室に移動され

手足には、また枷がつけられ


ベッドの上で、どうにか枷を外せないか…と手足をばたつかせていた










チッ。クソッ……

今のうちに、この枷を外してぇのに……っ!










地下牢から寝室になった理由は……

俺が牢番に犯されそうになったからだ



人間の姿でも男に犯されそうになって

初めて俺は、男も魅了してしまうのだと気づいた



悪魔になって自分の魅力が増幅していたから、男に迫られるのかと思ったが……

そうではないのだと気づかされた




それで、俺を愛人にしようとした女は……

俺を誰にも見せないよう、自分の部屋に連れてきたというわけだ










「誰が女なんか……
しかも、人間なんかの愛人になるかよ……っ!!


絶対に、この城から抜け出してやる!!」









俺は、逃げ出そうと手足をばたつかさせていたら……









バンッ……!!









部屋のドアが勢いよく開いた










な、なんだ……っ!?

もう戻って来たのか…!?










俺は、恐る恐るドアの方を見ると……










「やった!トヨいた!!」



「んあ?」











慌てた様子の勇者がいて

俺と目が合うと、安心したように笑った










勇者…っ!?

な、なんでここに……っ!?









「ちょっと待ってろよ、トヨ
すぐに、それを外してやるから」




「えっ……?あ、ああ…」











なんだ?

枷を外してくれるのか……?


お前、俺の敵じゃなかったのかよ…?






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