魔王のオモチャ







勇者は、俺の枷を外すと……

壁に向かって剣を振るった




壁の一部に綺麗な四角形が出来

大人三人くらい軽々通れるくらいの大きさだった



壁の向こうは、外みたいで……

青空が広がっていた










「トヨ、立てるか……?」










勇者は、俺に優しく声をかけてきて

俺は、今の状況に混乱しながらも


ベッドから降りようと立ち上がった










「うぉ………っ」



「トヨ……っ!」











地下牢のときから、立ちっぱなしだったので

俺は立ち上がることが出来なかった



勇者は、俺が倒れるとすぐに気づき

俺の腕を自分の肩に回して立ち上がらせた








「立ち上がることは無理か……

トヨ、少しの間だけ我慢してくれ」




「お、おお………」










なんだ、コイツ……

俺を助けてくれているのか……?










俺は、訳も分からず勇者に返事をすると

勇者は、魔導士の女に合図を出してくれ…と言った



魔導士の女は、さっき勇者が壊した壁に近づくと………

閃光弾みたいなものを外に放った










「トヨ、安心しろ

ギーラたちがお前を助けようと、ここに来ている」




「はあ!?ギーラたちが……!?」










なんでだ……!?

ギーラたちが俺を助けようと来るはずねぇだろ!



アイツらに酷いことを言ったし……

第一、アイツらはオヤジの術で氷づけに……









『ま、魔王……っ!!』



「ま、マーリ……っ!?
お前、どうして……っ」











壁の向こうから、現れたのは……

俺がよく知っている部下の一人……


マーリだった






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