魔王のオモチャ
『魔王……っ////!!
会いたかった…………って今は、そんなこと言ってる場合じゃないわね
ギーラたちが勇者の仲間と戦って苦戦しているみたいなの
さあ、早く
私の手を取って』
マーリは、俺に手を伸ばしてきた
俺は、その手を取っていいのか分からず
マーリの手を黙って見ていた
『魔王……?』
「……………マーリ
俺を憎んでいないのかよ…?
俺は、お前たちに酷いことを言っ………」
『魔王
私は、あなたが好き
愛してる
あなたがいなかったら、私はあのまま
厭らしい男たちのオモチャだった……
あなたが私をあそこから救ってくれたの
神でも天使でもない
魔王のあなたに………
今度は、私にあなたを救わせて
あなたを救えるのは、私たち ( 悪魔 ) だけなんだから……』
「マーリ……」
本当にそれでいいのかよ……?
俺は、悪魔……魔王だから
お前たちを不幸にすることしか出来ねぇぞ……?
それでもお前らは……
俺の側にいたいって言うのかよ……?
「………ゆ、勇者様…っ!
大変です!!
異変に気付いたシャーナさんたちが、こちらに向かっています!」
「もう気付いたのか!?」
魔導士の女は、急に焦ったように話し出し
その言葉を聞いた勇者も焦り始めた
シャーナたちが来るってことは……
ギーラたちは、負けたのか……?
『魔王いた…っ!!』
『魔王………無事みてぇだな…』
ギーラとブランがマーリの後ろから現れて、安心したように笑って俺を見て言ってきた
「お前ら………」
やられてなかったんだな……
ドンドン……っ!!
「ここを開けなさい!勇者!!」
「ニーナちゃん!!」
部屋のドアをドンドンと激しく叩く音が聞こえ、勇者たちの仲間が来たのだと
すぐに気付いた