魔王のオモチャ





『うぇぇ〜っん!

シュンちゃんがどこの馬の骨かも分からないやつに取られた〜っ!』







「ゆ、ユミさん…!」








ユミさんは、カウンターに手をつけ
子どものように泣いていた









これは酷い…

あっ、この酷いはユミさんの顔にだよ?


メイクが涙で崩れて、ケモノが
化け物に見えるもん









『勇者ちゃん……』




「ひぃ…!!」









ユミさんは、俺の肩をいきなり掴むと
化け物顏で俺に近づいてきた










怖い、怖い…っ!

ある意味の恐怖だよ…っ!!









『勇者ちゃん……』





「な、なんですか…ユミさん…」









俺は逃げ出そうとしたが……

ユミさんに掴まれてる肩がビクともせず
逃げられなかった










『勇者ちゃん……

あの私からシュンちゃんを奪った泥棒猫は勇者ちゃんの恋人でしょう…?


なら、シュンちゃんを
あの泥棒猫から取り返してきて…』











怖い、怖い!

顔、そんなに近づけないで…!





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