天高く、空へ・・・
「・・・薫、おはよう」

珠実に遅れながらも、哲はほっぺたを抑えるようにしてリビングにヒョイッと姿を現した。
哲のほっぺたは赤く腫れ上がり痛々しくも痕が残っている。

「あら、哲さん。それ、どうかなさったの?」

「あぁ、これは。珠実がカバン・・・で」

ギロリッ
珠実の鋭い視線に哲の顔は笑いながらもどこか引きつっている。

「はははっ、なんでもないや。なっ、珠実」

「・・・」


珠実は無言で食べ始めた。
間宮は何が何だかわからない様子。
ちらちらと二人を見回して見ては?がいっぱい頭の中をとんでいる。

「それよりも、腹減ったなぁ。すげーうまそー」

哲のその言葉を聞くとさっきの事は頭から離れたのか、間宮は頬を赤らめては嬉しそうにニッコリと微笑んだ。

「哲さんもたくさん召し上がって下さいね」

間宮は鈍い上にどうやら単純らしい。
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