【短23P】 オレンジ
初夏 15歳 ─────。
ミーンミーン…ミーンミーン
あちらこちらから聞こえる、蝉の鳴き声がより一層暑くする。
地面からは、嘘の水たまりがゆらゆらとして、
照り続ける暑いくらいの太陽。
「あちいーっ!」
私はつい、教室の窓からグラウンドめがけて叫ぶ。
「穂乃花ったらクーラー効いてるのに、窓なんか開けるからやんか。」
私は穂乃花。
今呼ばれた友達の美咲に「ばかやなぁ。」と言われたばかりの私です。
「だって、クーラー苦手やもん。」
と、暑いと駄々をこねた私。
「矛盾してるで」と笑う美沙子。
「やけどさ、夏休みに学校にきぃひんとあかんなんてなー。」
窓を閉め、近くの椅子に座り、団扇をパタパタと動かす。
「ほんまにね。まさかの私ら赤点とって補習。」
周りをキョロキョロと見渡すとわたし達と同じ、赤点をとった子がぺちゃくちゃ互互いにおしゃべりしてる。
肝心の先生がいないんだし、そりゃこうなるわ…。