同・棲・同・盟!

それから、ある程度冷めたおかずを、昼休みに買いこんだタッパーに詰め終えると、メモ紙とボールペンを持ってきた。

『日田さんへ
兄が野菜を贈ってくれたので、おかずを数品作っておきました。よかったら、週末にでも食べてください。それから』

まで書いたところで、ペンが止まってしまった。

書かなきゃ・・・。

『私、ここを出ます。』

・・・と書いただけで、涙がじわっと浮かんでしまった。
かと言って、日田さんのお顔を見て言っても泣くだろうし、電話で伝えても、やっぱり泣くだろうし。
あぁどうしよう・・・あ。
今、日田さんはいないんだから、メモ紙さえ濡らさなければ、別に今泣いてもいいじゃないの!

思い至った考えに、ホッと安堵の息をついたそのとき。
ガチャガチャバタン!と玄関のドアが開いた音がしたので、私は慌てて涙を拭った。

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