同・棲・同・盟!
「そ、そうでしたか・・・うん、確かに、そうかもしれない。・・・・・・私が10歳の時に両親が事故で亡くなったことは、日田さんにも言いましたよね?」
「ああ」
「あのとき、大好きだった両親が突然いなくなって、自分の居場所もなくなって・・・兄も含めて、親戚は遠くに住んでいたし、しかもあまり親戚づきあいはしてなかったから。幸い、兄がすぐ私を引き取ってくれたから、施設に預けられることもなくて。でも当時20歳だった兄は、妹とはいえ、10歳の子どもをいきなり育てるハメになってしまったばっかりに、おつき合いしていた彼女さんと別れることになって」
「それはおまえのせいじゃないと、オショウも言ってたが」
「そうです。当時の彼女さんは・・・兄もだけど、まだ若くて、お互い結婚を意識したおつき合いはしてなかったから、私がいてもいなくても、結局別れていたと思うと、兄には言われました。でもね、それ以来兄は、自分のことはそっちのけで、いつも私を優先して育ててくれたんです。大学に通いながら、生活費を稼ぐためにバイトもたくさんして。兄は私に、居場所を与えてくれました。愛情もいっぱい・・・でも私・・・お父さんとお母さんのこと、大好きだったのに、突然いなくなってしまって・・・お兄ちゃんまでいなくなったら、今度こそ、ひとりぼっちになってしまうと思うと、こ・・・怖くて・・・。だから私、好きな人には嫌われたくないって気持ちは、たぶん、他の人より強いかもしれないです。それで、防御に入っちゃうっていうか・・・あまり深入りはしない方がいいとか、どうせいつか嫌われるんだから、その前に去った方がいいとか、色々と考えちゃって。どうしても誰かと親密なおつき合いができなくて・・・」

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