同・棲・同・盟!
「大島ー」
「わっ、はいっ?」
「それじゃあ足りないだろ?」
「いや。でも、その、あの、実は私・・・」
「金のことは心配しなくていい。俺が全部払うから」
「えっ!!いくらなんでもそれは」
「おまえは今、着てるもんしか持ってない状態なんだぞ。それに、アパートにあるもんは縁起悪いから、買えるものは置いて行けと言ったのは俺だ」
「・・・もしかして、日田さんは、最初からお支払いをするつもりで、私にそう言ったんですか・・・?」

なんだか申し訳なくて、つい上目づかいでチロッと見た私に、日田さんはアッサリと「ああ」と言いきった。
そして、黒縁メガネの奥にある細めの目をもっと細めたいつもの和めるカッコいい笑顔を、私に向ける。

あああぁ!なんで日田さんって、何を言ってもバッチリキマるの?
それに、なぜこんなにステキな笑顔・・いや、笑顔だけじゃなくて、存在そのものがとってもステキなんだろう。

ついウットリと日田さんを見つめそうになるのをこらえた私は、意を決してどんどん品物を選んだ。

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