同・棲・同・盟!
「俺、全然飲めないからなぁ。おまえが羨ましいよ」
「・・・え?わ、わたし、ですか?」
「ああ。二日酔いもないんだろ?」
「うーん・・・ないですね」
「いいなぁ。俺、奈良漬食べただけで顔真っ赤になるから」

それを聞いた私は、日田さんには悪いけれど、ブッとふき出してしまった。

「そう言えば日田さんって、下戸でしたよね」
「うん。俺、酒類は飲めないが、みんなで飲みに行くのは好きなんだ。たぶん、楽しくて賑やかな雰囲気に浸るのが好きなんだと思う」
「あー、それ分かります。あ、運転手さん!次の角を左に曲がってください」
「はいー」

あぁ、もうすぐアパートに着いちゃう。
できれば永遠にこのタクシーに、日田さんと二人っきりで乗っていたい・・・。

なーんて、ロマンチックな気分に浸っていたそのとき。
何となく周囲が騒がしいような、そして夜の9時を過ぎているというのに、珍しく外には人がたくさん群がっているような気がした私は、そのまま窓に顔を貼りつけるように外を見て・・・。

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