モデル姉さんのファンは弟くん
「ねえ…玲蘭まじ可愛いんだけど。」
「ええっ!?そっそんなことないよ…。」
「俺が言う次ってキスなんだけど…ダメ?」
「き、きっ、キス!?想像よりハイレベルだった…。で、でも…その…わたしたち…まだ恋人同士じゃないけど……。」
いま、まだって言った?
期待していいわけ?めちゃくちゃにやけるんだけど。
「玲蘭が俺のこと前向きに考えてくれてんなら、して。」
催促するように、祈りながら目を瞑った。
「えええっ!?そう言われてもっ…ど…どうしよ。」
玲蘭の戸惑う声が聞こえる。
「うう…えっと……。」
やっぱダメか…と諦めて目を開けようとした瞬間。
「…っこ、これで精一杯ですーー!!」
頬に玲蘭の唇がほんの一瞬触れた。
一瞬だったけど、間違いない。
「やっば……。理性保つのキツすぎ。めちゃくちゃもっとエロいことしたくてしょうがない。」
「えっ、エロ…!?もう、そんな恥ずかしいこと言わないでっ…時間のこともあるから、もう行くね!」
「ははっ…わかったよ、待って待って。」
まじで全部可愛い。理性なんか簡単にどっか行っちゃいそう。
大きな通りに急足で出る玲蘭の手を取る。
「あいつがいるとこまでは、これで行こ。」
「帝くんは余裕そうで羨ましい…。」
全然そんなことないのに。拗ねる姿も可愛い。
…そのあと、家まで送るつもりだったけど、あいつが駅前まで迎えに来てると言われて駅前で別れた。
数分前まで隣にいたのに…もう玲蘭に会いたくなる。
帰り道や家に着いても思い浮かべるのは今日玲蘭が見せてくれた色んな顔。
イタズラに笑う顔や、怒っている姿、顔を赤らめる顔。
思い返すだけで、幸せな気分になる。
ほんの少し前までは、誰と身体を重ねあっても感じなかった幸福感を、こんなただの会話や表情で満たされるなんて。
今までクズみたいなことしてきた俺が本当に玲蘭を求めていいのかな、と思ったときだった。
〜♪
通知音が鳴り、確認する。
『帝くん今日もありがとう!圭にはひとまずバレてなさそう!笑 このパワーを明日からの仕事に繋げるよ〜!』
たとえ友達に送るような内容であっても、めっっちゃ嬉しい。
可愛いな…ニヤけずにはいれない。
「あ〜…玲蘭がいないと時間が経つのが遅え。」
今すぐに玲蘭に会いたい。そう思いながら何度も玲蘭からのメッセージを読み返した。