モデル姉さんのファンは弟くん
「ええっ?彼氏!?違うよ全然!会社の人で…ごっごめんね、ここ狭くて危ないから……。」
(み、帝くん走ろ。)
最後にぼそっと小声で俺に訴える。
こくりと頷き、走り出す。
「「「あっ〜、まって!!!!」」」
はぁっ……遊園地の出口付近まできたけど、後ろからまだまだ追ってくる。
「はぁ…はぁ……どうしよ、帝くん。」
「っはぁ…ダメだな。水族館は中止。」
「っ行きたかったのに…。」
「変装が中途半端でバレるのも時間の問題だったところもあるし、仕方ないな。」
「でもせっかく来たのに……楽しみだったのに…。」
玲蘭の潤んだ瞳が、目に入る。
やば…そんな顔みせんなよ。
「また連れてくるから。」
「…すぐ?」
「玲蘭のスケジュール次第。」
「ほんと、約束……はぁ…帝くん、もう走れなっ……。」
なんとか並んで走っていた玲蘭だけど、俺に追いつかなくなってきた。
視界には追ってくる様子は映らなかったけど、駅までは安心できないよな…。
「…恥ずかしいのは俺もだから我慢してて。」
「っひゃっ…ちょっ!!逆に目立つよ!!」
うわ、軽っ。抱えて走る方が早いかと思って、いわゆるお姫様抱っこをしたけど…。
ぐいぐいと押し返される。
「じゃあこれは文句言うなよ。」