モデル姉さんのファンは弟くん
「これ…!SNSに上がってる!写真撮られてるの!ねえ、あいつと仲良くしないでって言ったよね?」
なんで知ってるのって…少しくらい誤魔化さないわけ?もう意味わかんない…イライラしすぎておかしくなりそう。
「帝くんがね、ご褒美ってことで連れて行ってくれたの。」
「なにご褒美って?」
「それがね、今日現場に着いたらドラマの撮影スタジオだったの。」
「えええ!お姉ちゃんすごいっ…って今はそうじゃなくて、だからってなんであいつからのご褒美に繋がるわけ?」
「演技なんて経験ないし、有名な俳優さんとか女優さんばかりでわたしなんて絶対出来ないって思ってうじうじしててね、そしたら帝くんが今日1日頑張ったらご褒美くれるって言ってくれて。」
ふーん……それで場所が遊園地…ね。
「圭とも今度一緒に行きたいな。」
くぅ可愛いなあもう……まだ全然怒り足りないけど、そんなこと言われたら一気に幸せな気分になっちゃうじゃん。
「ふわ〜…眠たくなってきちゃった。」
「お姉ちゃん疲れてるのに怒ってごめんね?もう寝よっか。」
「ううん、わたしも心配させちゃってごめんね?」
少しも経たないうちにお姉ちゃんは眠った。
はぁ…あいつがお姉ちゃんに告白したらどうする?
起きたら、僕はお姉ちゃんのこと姉弟に対する好き以上なんだということを伝えてしまおうか…。
……いやダメだ、落ち着け。今まで何度も何度も我慢してきたんだ。
つい最近出会ったばかりの、非常識な塊のあいつなんかに譲るわけにはいかない。
僕はお姉ちゃんとずっと一緒にいれればそれでいいんだから…。
そう悶々と考えながら、お姉ちゃんを抱きしめる。
あぁ…ずっとこのままでいたい。
「んん……。」