モデル姉さんのファンは弟くん


記憶があやふや…お姉ちゃんは自分の親のことを忘れてしまったってこと?









でも…そうだよね。








そんなことを想像するだけで今の僕でさえもこんなにひどく悲しく、恐ろしさを感じるのにお姉ちゃんは3歳でその悲劇を経験して…そんなの体も心もズタズタになってしまうに違いないよ。








「玲蘭が命をとりとめてくれたのは本当に奇跡に近くて僕たちは喜ぶこと以外できなかったよ…だけど玲蘭の親族は違った。」








え…?








「玲蘭の両親と周囲の親族とは関係は悪くてね。玲蘭のお父さんの家系が地方の企業社長で一人息子だったんだ…違う道を選んだが故に親族からは異常に罵倒され、突き放されてしまった。そんな関係で玲蘭を引き受けようとする人が周りに誰もいなかったんだ。」










なにそれ……お姉ちゃんが必死に生きようとして頑張ったのに、そんなひどいことある?









「俺もママも同じ思いだった…玲蘭を精一杯我が子として愛そうって。」








……それでお姉ちゃんが…。








「現実は玲蘭にとって、とても厳しいものだったけど、意識を覚ます時には絶対寂しい思いはさせたくなかった。交代でお見舞いに行って数週間経ったころ、圭も一緒に3人で行って…玲蘭が目を覚ましたあの瞬間、絶対忘れない。」










僕もその時一緒だったんだ…。








「意識が戻ったことに驚いていたら、玲蘭が俺たちを見ておかあさん、おとうさん…って言ったんだ。嘘みたいだけど、本当にそう言ってくれて…何があっても俺たちは玲蘭の親になりたいと強く思ったよ。」










「…そう、僕らが子どもの時にそんなことがあったんだ…。」

< 84 / 101 >

この作品をシェア

pagetop