モデル姉さんのファンは弟くん
「うそ。玲蘭が元気ない理由知ってる。あいつがチヤホヤされてんの見て、なんとも言えない気持ちになってんだろ。」
「……っえええ!?」
う、うそ…なんで考えること丸っきり同じにバレたの?
「身内でも気持ち悪いほど仲がいい弟が異性といたら誰でも、なんとも言えない気持ちになるだろ。」
「あ…そうなの?じゃあわたしはそんな気持ちになってたんだね。」
「まぁそうだとして…それよりさ、俺が玲蘭に好きって伝えてから仕事忙しくなったりで一回もデートできてねぇから、明日の休み予定なかったら俺に時間ちょうだい。」
ベンチの周りには人はいなくて。
…帝くんはそれも考えて声をかけてくれたのかな。
好き……。
デート……。
「顔赤くして…ははっ。ほんとピュアで可愛い。」
「だっ、だって…!」
言われ慣れない言葉にドキドキしてしまうのは仕方ないよ。
「…で?予定あんの?」
「あっ、な、ないです…!」
「ふはっ…なにかしこまってんの?じゃ〜あいつ…弟には内緒な?うまく玲蘭だけ家出られるような作戦考えておくから。」
「う、うん…。」
あまり笑わない帝くんだけど、今は笑顔でとても嬉しそう。
わたしがそのきっかけになれていると思うと自惚れているのかもしれないけれど…普通に嬉しい。
明日の帝くんとのお出かけはどこなんだろう…とベンチで少し考えたあと、撮影場所まで戻っていった。