モデル姉さんのファンは弟くん
それにしても、俺が女にこれだけ執着してしまうとは全く思ってもいなかった。
ものごころついたころから俺には父さんしかいなかったし、そんな父さんは仕事で忙しそうにしていたから自分にかまってくれる人が近くにいなかった。
1人が楽だと思う様にしていたから友達もうまく作れず。
中学ぐらいになって、周りの女に相手してもらうことが多くなり、自分のそばに誰かがいることって経験したことのないことだったから嬉しかったんだと思う。
きっと母親がいなかったからなのか、当初は年上の女ばかりと一緒にいたけど俺の外見をみてそばに来てくれる女だったら誰でもよくなっていた。
そうやって、いままでは不特定の女と遊んできた時間は楽しかったと感じでいたはずだけど、玲蘭に興味を持ってからはそんなだらしない考え方なんて消えていた。
自分が相手に好かれるためにどうすればいいんだろうとか、そんなめんどくせぇこと考えたくもなかったし、まさか自分が追いかける側になるなんて。
今は必死に玲蘭を求めている。いつもそばで笑ってほしいし、少しでも一緒にいたいと思う。
待ち合わせしてる今だって、約束の前からドキドキしているし、30分以上も前に待ち合わせ場所についてるし。
「あっ、帝くん!」
「…は?玲蘭?俺10時半って言ったけど…。」
え?なんでもう待ち合わせ場所にいんの?
「うん、わかってるよ!いつも帝くんのこと待たせてばかりだから今日は早めに来ておこうかなって思って!」
「そんなこと気にしなくて全然いいから。」
ほら、こういうの…やばくない。
もうどうすればいい?可愛すぎない?
「それにどこ連れて行ってもらえるのかなって思ってたら楽しみで、はやく準備しちゃった。」
「ねえ玲蘭、可愛いにもほどがあるんだけど?」