朝、きみと目が合って
6月22日(月)
翌月曜日も曇り空だった。

いつもと同じ午前六時二十七分発向田行きの三両目、電車が発車してすぐ『ラヴィアンローズ』二◯三号室のベランダに見えてくるのは柳さん。

柳さんは目が合うなり、嬉しそうに手を振ってくれた。
呆気に取られそうになった私はすぐに見えなくなってしまうと焦り出し、小さく手を振り返した。

そんなことを一週間、金曜までずっと続けた。

いや、金曜日は私から手を振ったような気もする。

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