最初で最後の嘘
緑の庭園は何度か下見をしていたが、瑞希と来てみると何だか違った景色に見える。
ウェディングドレスが風に靡き、瑞希が楽しそうに、気持ちよさそうに目を細めるその姿をひたすら眺めた。
瑞希をずっと見ていなかった。
目を背けていたうちに、こんなにも綺麗になった。
きっと、幼馴染じゃなくても俺は彼女を好きになっていただろう。
この笑顔に心惹かれていただろう。
どうしようもないほどに。
「久しぶりだな。こうして話すの」
「うん。すごく久しぶり。小さい頃はずっと一緒にいたのにね」
彼女にとって、この瞬間は特別なものとして映っているのだろうか。
何を考えているのだろうか。
瑞希の心ほどわからないものはない。