最初で最後の嘘
第1章
幼馴染
俺が生まれて10ヶ月後、俺の幼馴染、吉川瑞希は生まれた。
辛うじて、同級生という、3月末のことだ。
瑞希が生まれたその日のうちに俺は彼女と会ったらしい。
もう、本当の意味で生まれた頃からの付き合いだった。
そしてもう一人、瑞希の生まれた日に立ち会った幼馴染がいる。
黒崎奏。
俺たちより5つ上の兄貴分のような存在。
物心ついた時には必ず奏兄がいて瑞希がいてが当たり前だった。
三家族は交流が盛んで、週末は合同の夕食会が当たり前。
そんなだったから、面倒見の良い奏兄は俺にとって兄貴そのものだった。