最初で最後の嘘
でも、それ以上にやりきれない思いが俺の中に積もった。
俺が優しくしようが、冷たく当たろうと変わらぬ瑞希。
それは慈愛に満ちた愛であって。
俺が求める、自分だけのものにしてしまいたいというエゴイストな愛とは違って。
変わらぬ瑞希の態度は俺への思いが変わらないことを意味していて。
苦しくて辛くて、彼女から離れたいという思いは日に日に膨れ上がった。
それは、同時に。
彼女への思いが積み重なっていくこととは気付かず。
俺が好きな彼女の笑顔と綺麗な涙。
その姿を見れば見るほど募っていく思いがあるとは思わなかった。
ただ嫌いになって。
いつしか、瑞希を見ても何も思わなくなる。
俺はそう思っていた。
いや、望んでいたのだ。