最初で最後の嘘



 俺が瑞希のことを好きだと自覚したのは、ずっと後のことだった。


 だから、そう。


 本当に小さな頃は。


 3人で仲良くしていた。

 いや、俺と瑞希で奏兄の取り合いをしていたくらいだ。


 瑞希は典型的な女の子だった。


 甘えたがり屋で泣き虫で怖がりな女の子。


 おままごと、折り紙、童話が好きな女の子。


 俺はおままごとよりサッカーとかキャッチボールが好きだった。


 面倒見の良い奏兄はどっちともの相手をしてくれた。


 俺と瑞希も奏兄の取り合いはしていたが仲が良かった。


 特に瑞希は、俺に依存していた。


 というのも、瑞希は人見知りで俺や奏兄以外とは話せないやつで。


 だから、幼稚園では俺にぴったりくっついて離れなかった。


 いつも俺の隣にいた。

 
 誰かが割って入ろうとすると、俺の袖を掴んで震えながらも相手を睨み付けて。


 それが俺は嬉しかった。


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