最初で最後の嘘
無意識に舌打ちをする。
寄りによって、俺を苛立たせる二人が一緒にいるところに出くわすなんて。
瑞希の家の前で立ち止まる二人と同じく、俺は角で立ち止まる。
向こうが俺に気付いてないことが幸いだ。
あの二人が、ずっと仲良く幼馴染をやっていることなんか知ってる。
俺が消えたところで壊れる関係じゃない。
笑顔で俺を幼馴染として扱うところがそっくりで、そのお人好しさにうんざりする。
馴れ合いなど、いつまでしている気だろうか。
幼い頃をそのまま引きずっている二人。
呆れて無意識に溢したため息は白く夜の空気へ溶け込む。
3月など、まだ冬の部類。
身震いする寒さにそろそろいなくなっただろうかと顔出す。
いきなり動き出した時に。
氾濫した水に。
俺は為すすべなどない。
抗えるはずなどなかった。
そこで見た光景は、変わっていた二人の関係だったのだ。