最初で最後の嘘
第3章
さよならとはじまり
俺の入院生活は1ヶ月と診断された。
骨折と打ち身。
痛さで起き上がることさえままならない。
感情というものは痛みさえ上回るものらしい。
今の俺にあのように騒ぐ気力はない。
いや、瑞希が来たら痛みなど感じなくなる。
感情が支配して。
今度は後悔なんてしない。
でも、あれから2日。
瑞希は来ない。
「気分はどうだい?歩」
飄々と現れた丹羽に瑞希ではない失望感は否めない。
だが、丹羽に相談をしたかったから、歓迎するべき存在だ。
「お母さんもお疲れでしょう。今日は僕が見張ってますから」
看病という名の監視は明白だった。
俺が何かをやらかすと思っているのだろう。