最初で最後の嘘





「いいえ。大丈夫ですよ」



 お袋が丹羽を警戒するのも当然。


 こいつも限りなく異様なやつだから。



「彼は気持ちの整理をつけないといけません。わかるでしょう?夕方には佐伯さんが来ます。お帰りを」



 何というか、実にアッパレな男だ。


 はっきりと邪魔者と言っているに等しい。


 友人の母親をこうもあっさりと排除するなんて。














「しかし、この警戒感。ただの失恋で片付けるには君は危険人物だと親御さんもわかっているわけだ」



 勝手に冷蔵庫を開けるその姿から推察するに丹羽の部屋と認識されたようだ。



「で、歩。時間がないぞ。どうする?リミットは4ヶ月だ」



「4ヶ月?」



「瑞希さんに聞いた。因みに彼女は来ないぞ。君のご両親が当然会わすはずがない」



 それは予想していた。





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