最初で最後の嘘




 瑞希にケガを負わせたんだ、うちだけでなく、おじさんとおばさんだって奏兄だって止める。


 加えて、俺は瑞希のことが好きで、瑞希は結婚が決まっているのだから。


 ただの失恋だとしても会わせないところ。


 加えて俺が、何かやらかすかもと思っている。


 それでも。


 そう、それでも。


 瑞希は俺に会いに来てくれると心のどこかで期待していた。




「で、僕は何をすれば良い?」



「……気持ちの整理をつけるべきなんだろう?」



 寝たままの俺のことを覗き見る丹羽。


 妙な体勢に居心地が悪い。




< 70 / 115 >

この作品をシェア

pagetop