最初で最後の嘘
瑞希にケガを負わせたんだ、うちだけでなく、おじさんとおばさんだって奏兄だって止める。
加えて、俺は瑞希のことが好きで、瑞希は結婚が決まっているのだから。
ただの失恋だとしても会わせないところ。
加えて俺が、何かやらかすかもと思っている。
それでも。
そう、それでも。
瑞希は俺に会いに来てくれると心のどこかで期待していた。
「で、僕は何をすれば良い?」
「……気持ちの整理をつけるべきなんだろう?」
寝たままの俺のことを覗き見る丹羽。
妙な体勢に居心地が悪い。