最初で最後の嘘
「もっと大きなリスクを背負うことやろうとしているのに。不思議なことを言うね」
「早く落ち着いた生活をするように努力はする。心臓に良くないからな」
あれから退院し、俺は実家には帰らずアパートに戻った。
不自由な身体ではあったが、幸い丹羽が俺の足代わりになってくれたし、親も実際のところ俺が戻って来ないことに胸を撫で下ろしていた。
単位をほとんど取り終え、就活に精を出す4年の夏。
幸いに大学に行かなくても問題がなかった。
アパートで丹羽と計画を練ったり、瑞希のことを考えたりそんな生活を送っていた。
もう四か月経った今では、完治して万全な状態。
お人好しの瑞希から、メールが一度来た。
――身体は大丈夫ですか?
この短いメールに込められている思いは何なのだろう?
きっと、勇気を振り絞って送ってくれた。