僕は二度、君に恋をする
そうだ、この時間はどうせマキと話すための時間だったのだ。それならマキと話しをしに行けばいいじゃないか。
僕はマキと同じマンションに住んでいると言っていたピアノの後輩に電話をして、マキの部屋番号を聞き出した。
六〇三号室。忘れないように何度も口の中でつぶやきながら、僕は徒歩五分の防音マンションを目指した。
やはり同じマンションに住んでいるピアノの同級生の部屋に行ったことがあるから、場所は知っている。
ちなみに、そいつを電話の相手に選ばなかったのは、口が軽いからだ。
エントランスでインターホンを押す。間違いのないように数字を押すと間も無く、自動ドアが開いた。
無言でインターホンを切られたようだが、部屋には行ってよいということだろうか。