僕は二度、君に恋をする
その代わり、世話はしまくった。
朝は鬼のモーニングコールで叩き起こしたし、合わせでは尻を叩きまくって(もちろん比喩だ)、学科試験の勉強も発破をかけ、彼女が健全な暮らしを送れるよう、面倒を見た。
由理には、それが甘えさせないこととどう違うのかわからないと言われた。
「ジリツってさ、自分で律するの意味で言えば、今のマキちゃんは自律できてないと思うけど。」
自分で立つ自立と、自分を律する自律。確かに今のマキを律しているのは僕だ。
「まぁでも、モニコだの試験のお世話だの、大変なことをやってのけるんだから……。」
意味深にユリは僕を見た。
「なんだよ。」
「愛だね〜。」
ハイボールのグラスを揺らしながらニヤニヤと微笑む由理が、その時は二十五歳に見えたけれど、本人には黙っておいた。