僕は二度、君に恋をする


「つまんないなー。ご飯でも行こうよ。」

「お前はレッスン終わったから解放感いっぱいだろうが、こちとら明日がレッスンなんだよ。さらわなきゃやってらんねぇ。」

「マジメな泰彦くんは練習かぁ。ふーん。」


 僕が返事をしないでいたら、マキは物欲しげにこちらを見ている。


「なんだよ。」

「だから彼女できないんだよ。」

「……るせぇなぁ。」


 彼女は僕が好きなのかもしれない、と思ってしまう瞬間が時々あることを、僕は否定できない。

 そして、僕は彼女が好きだということは、もっと否定できない。


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